裁判所事務官という仕事はご存知でしょうか?
聞いたことはあるけど詳しくは知らんな
その名の通り、裁判所で裏方として事務作業に携わる、書記官として公判で裁判の様子を記録するといった仕事に従事します。
ああ~、なんかめちゃくちゃホワイトなやつでしょ
はい、勤務先として公務員の中でもホワイトとして知られ、また、試験日程もほかの試験と被ることが少ないため、公務員試験の中でも特に人気の試験区分と言えます。
しかし、その採用試験自体の情報はなかなか情報が出回っていません。
僕も受験する際、情報を集めるのに苦労しました。
そんな裁判所事務官採用試験を受けた体験談をお伝えできればな、と思います。
裁判所事務官とは
裁判所事務官は、裁判所等においてさまざまな事務処理を行い、裁判の円滑な進行と裁判所に務める人をサポートする仕事です。勤務先は各地の裁判所や事務局となり、「裁判部門」もしくは「司法行政部門」のいずれかに属して裁判事務を行います。具体的には、裁判部門では裁判所書記官のもとで各種書類の作成や送付、弁護士との打ち合わせなどを実施し、司法行政部門では総務や人事、会計など、一般企業の事務職のような役割を担っています。
https://careergarden.jp/saibanshojimukan
引用の通り、裁判所事務官とは裁判所で生じる事務作業を一手に引き受けて処理する事務員さんのことを指します。
また、事務官は書記官試験を受けることで裁判所書記官にクラスアップすることができます。
テレビなどで裁判官より一段下の階層にいる黒服を着ている人を見たことはないでしょうか?
あの人が書記官さんです。
書記官はその名の通り裁判の記録をとる職業です。
超ホワイト企業、裁判所
裁判所事務官、書記官はともにホワイト職種として有名です。
基本的に残業無しで定時帰り、安定の国家公務員、出世しない限り無理な転勤無し、仕事内容も楽といいことづくめです。
さらに女性に優しい職場としても有名で、女性比率が半分を越えており、育休などの制度が豊富です。
しかも職場でも穏やかでおとなしい人が多く、職場環境も非常にいいと評判です。
働く人のことを第一に考えているホワイト企業、それが裁判所と言えるでしょう。
いいなぁ~、裁判所で働きたいな~
難易度は結構高いですよ?
裁判所事務官採用試験とは
裁判所事務官採用試験は総合職、一般職の区分があり、さらにその中でも枝分かれしますがここでは一般職事務官についてのお話ということでご了承ください。
一般職と聞いて簡単そうと思われるかもしれませんが、採用先のことまで考えるとかなりの難関です。
ただし、ブロックごとに採用が行われますのでブロックによっては相対的に難易度が下がる可能性もあります。
イメージとしては国家一般職採用試験を思い描いていただければわかりやすいのではないでしょうか。
一般職は一次試験(択一)と二次試験(論文・面接)の二つが課されます。
このうち、もっとも気をつけなければいけないのは面接です。
面接の比重が恐ろしいほど高く仮に択一、論文で高得点が取れていても面接ですべてひっくり返される可能性があります。
逆に、択一、論文が今一つでも面接の出来次第で逆転の可能性がありうる恐ろしい試験です。
また、この試験の特徴としては女性優遇の傾向があるということです。
このことを考慮に入れながらそれぞれの試験について考えていくとしましょう。
一次試験概要
一次試験は教養40問、専門30問の70点満点です。
教養試験は文章理解(特に英語)と数的処理の難易度が高いです。
文章理解の英語は設問文まで英語で書かれており、また本文の内容も難しめのものが多いです。
とはいえTOEIC740くらいの英語力があれば得点源にできるかと思います。
数的処理は変な(?)というよりちょっと捻ってある問題が多いです。
裁判所独自の問題が多く、他の公務員試験の問題とは系統が違うことが多いのでしっかりと対策して臨むことをお勧めします。
専門は憲法、民法が10問ずつの必須科目、経済学と刑法のいずれか選択で10問となります。
このうち憲法は確実に得点しましょう。
憲法の難易度は標準的なものが多く、比較的扱いやすいものが多いからです。
民法の難易度は裁判所ということもあってか高いです。
とはいえ一定の傾向があるのでそれをおさえていけばなんとかなると思います。
経済学は比較的標準的な出題が多いとされていますがたまに地雷科目となるときがあります。
その点、刑法は比較的易しめな年も多いので裁判所第一希望という人は刑法を選択することをお勧めします。
ちなみに男性で自分の希望する勤務地に採用されたいなら管区にもよりますがここで60点近く取る必要があります。
60点!?さすがに冗談でしょ?
私もこの試験を受ける前は冗談だと思っていたのですが男性で希望する地区に採用されるにはこれくらいないとキビシイのが現実のようです(苦笑)
女性でも、希望する地区に配属されるためにできる限りいい点数を取っておくに越したことはないでしょう。
もちろん、採用さえされればそれでいい、最終合格さえできれば構わないという人ならもっと低い点数でも大丈夫です。
一次試験対策
裁判所事務官攻略のためにはとにかく過去問演習です。
僕が使ったのはこちらです。
現在裁判所事務官の過去問でまともなものはこちらのものしかないので裁判所事務官を志望される方はこの過去問を購入してください。
これがすごくよくて一次試験になんとか合格できたのは過去問演習のおかげだと思います。
時間を計って模試感覚で解いていきました。
本番で問われるレベル、頻出分野、それに対する自分の苦手な範囲がわかったので非常に有意義でした。
残り時間が限られているので効率的に勉強できたと思います。
でも3年分しかないし、すぐに解き終わっちゃうんじゃないの?
そこで残りの時間は自分が苦手、あるいはもう少し点数がほしい科目を中心にクイマスを使って裁判所事務官の過去問を解くことにしました。
特に民法はおすすめできます。
と言うのも民法はマイナーすぎて裁判所くらいでしかでない分野があったり、家族法は出ないなど、貴重な情報を得ることができルカらです。
クイマスを使うことで裁判所事務官の過去問を虫食い的に解いていくことで効率よく学習することができました。
スー過去でもよくね?
たしかに、問題演習はスー過去でもいいのですが、スー過去の場合、裁判所事務官の過去問は掲載されていないという問題点があります。
ですから裁判所委事務官を受けるなら、クイマスにすることをおすすめします。
なるへそ
一次試験本番実況中継
教養試験
はじめは教養試験からはじまりました。
裁判所事務官の教養試験は難易度が高いことで有名で、40点中20点+αを目標に取り組んでいました。
が、奇跡的に数的処理、文章理解で満点近く得点することができ、かなりいい点数を取ることができました。
専門試験
次に専門試験です。
こちらも公務員試験の中でも難易度が高いことで知られています。
裁判所ということもあるのか、とりわけ法律の難易度が高いです。
逆に経済学は素直な問題が多いみたいでした。
が、私が受けた年は経済学の難易度が異常に高い年だったらしく、まったく解けませんでした。
試験が終わったと同時に絶望したことを覚えています。
大学入試で数学が1問も解けずに0点を覚悟したときと同じような感覚でした(笑)
幸い、法律科目がそこそこの点数取れていたので命拾いしました。
二次試験概要
二次試験は論文と面接です。
その中でも論文は教養論文と専門記述の二つが課されます。
また、面接は面接官3、志願者1で行われる個人面接で時間も30分前後あります。
雰囲気は穏やかですが深堀が激しいことで有名で、無対策で臨むと大やけどします。
論文対策
裁判所事務官採用試験には論文試験があります。
私が受験したのは一般職でしたので憲法と教養の二つです。
さて、この論文試験で頭を悩ませる人は多いのではないでしょうか。
法学部出身の人ですら論文を書くことなんて期末試験くらいのものであまり経験していないかと思います。
まして私のような非法学部の人間にとって、専門論文などどうしようもないものだと思っていました。
論文の配点は低いですが適当に対策すると足切りの危険性もありますので最低限やっておきたいところです。
これは公務員試験で出される憲法の論文試験のポイントを簡潔にまとめた参考書です。
ものすごく薄く、わかりやすいので本番前の短い時間でも必要な論点を押さえることができました。
専門記述とかなにをやったらいいかわからないという人は騙されたと思ってこちらの参考書をやってみてください。
公務員試験で課される論点をほぼ網羅しながら本全体のサイズは非常に薄いのでやる気がそがれません。
それでいて重要な点は押さえてありますので本番前にぱらぱらと読むだけでも効果があります。
文章の書き方としては
- 定義
- 論点
- 法的解釈
みたいな感じで三段論法で書ければ素人でもそれっぽく見えるはずです。
ある程度、こう来たらこう書く、みたいに自分の中でテンプレをつくっておくと本番でもスラスラかけると思います。
面接対策
先ほども書きましたが裁判所の面接は難関です。
実質的にここでの成否で順位が大きく左右されますので心してかかりましょう。
事前準備として必要になるのは裁判所事務官の仕事とはどんなものかということをしっかりと把握しておくことです。
なぜなら面接で真っ先に問われるのは「この人は裁判所事務官の仕事をしっかりと理解しているのかどうか」だからです。できればインターンや説明会に参加してこのあたりはばっちり押さえておきましょう。
そんな暇はない、あるいは参加できなかったという人はこちらの本を参考にしておきましょう。
この本は裁判所事務官の仕事が詳しく紹介してあり、非常に有用です。
現役職員の体験談も数多く掲載されているので志望動機をつくるのにもとても役に立つでしょう。
他に準備できることは?
あとはしっかりと面接カードを作りこんでいくことが大切です。
その面接カードに沿って面接が行われていくので当然と言えば当然でしょう。
面接試験実況中継
裁判所はこの最終面接の総得点に占める割合が非常に高く、実質的にこの面接で合否が決まるといっても過言ではありません。参考までに私が聞かれた内容は
- 自己PR
- ガクチカ
- 志望動機
- チーム内での役割
- 長所と短所
- 他人からみて自分はどう見られているか
- アルバイト
- クレーム対応
- 交通違反歴
- 健康状態
- 逆質問
でした。
面接時間はだいたい30分くらいと平均的な長さだったと思います。
多くの人が言うように圧迫という感じではなく、穏やかな雰囲気ながらも深堀してくる感じでした。
がそれに対して淡々と、そつなく答えていけばC評価くらいならもらえます。
私も成績開示したとき、それくらいの評価をいただくことができていました。
気になる採用漏れの有無は!?
さて、裁判所事務官試験で問題視されているのは実は受かったあとだったりします。
というのも、せっかく最終合格しても一定数が採用漏れに合ってしまうのです。
実際どれくらいの割合で採用漏れが起きてしまうのでしょう?
年度や地域によっても変わりますが中部や関西、中国などでは厳しい年だと最終合格順位からみて下位4分の1くらいの人が採用漏れ、ないし自分の希望とは違う裁判所に配属となってしまうことが多いです。
逆に関東は採用漏れが起きることが少なく、場所さえ選ばなければ採用されることが多いです。
もし、自分の希望する管轄の裁判所に配属されたければ、できる限り高順位を取るようにしなければいけません。
まとめ
裁判所事務官は非常に難関です。
特に男性で自分が希望する地区に配属されるのはとても難しいです。
しかし、過去問と面接対策をしっかりと行えば受からない試験ではありませんので事前に入念に準備をして臨みましょう。頑張ってください!
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