こんにちは、元公務員ウェブ系エンジニアのまろんです。
近年、公務員試験は人物重視へとシフトしてきており、面接の配点が公務員試験に占める割合はかつてとは比べ物にならなくなっています。
例えば県庁や政令指定都市などの地方上級や市役所、裁判所などは面接の配点が異様に高いです。
なかには公務員試験特有の筆記試験を廃止して面接、あるいは簡単な適性検査だけで採用する自治体まで現れる始末です。
そんな中、国家一般職だけは未だにいい意味でも悪い意味でも旧態依然(?)の筆記重視の試験内容を崩しておらず、面接が苦手なコミュ障でも筆記試験を頑張っていい点数をとれば逃げ切ることが可能です。
みなさんは国家一般職と聞いてどんな印象をお持ちでしょうか?
給料安そう、国総の使いっぱしり、地方上級>国家一般なイメージが・・・、正直よくわからない・・・などなどさまざまな印象をお持ちではないでしょうか?
僕も実は国家一般職試験を受ける前は給料安くてあまりよさそうなところじゃない、なによりなにやってるのかぜんぜんわからないという印象でしたが、個別説明会などを通して印象が大きく変わりました!
実は高齢既卒、コミュ障、ニートにも優しい素晴らしい職種だったりします。
今日はそんなコミュ障最後の砦として名高い国家一般職について語っていこうと思います!
国家一般職とは
- 国家総合職(キャリア官僚)が政策の企画・立案を行うのに対し、国家一般職はその政策を実際に施工・運用していくのが仕事。
- 1つの省庁に入ると、基本的にはその省庁内での異動になるため、1つの分野を突き詰めることができる。100年後も残るような制度作り・事業に携われるため、スケールの大きい仕事ができることが魅力。
- また、検察事務官など法務省管轄の事務官になると内部試験によって検察官や弁護士など法曹資格をとる道も開かれる。
http://www.lec-jp.com/koumuin/chihou/about/work.html
また、国家公務員と一言で言っても行政職、技術職、専門職など様々な種類があります。
そのなかでも行政職を司るのは大雑把にいうと国家総合職と国家一般職になります。
国家総合職は俗にキャリア官僚とも呼ばれ、霞が関にある本庁に勤める人たちのことを指します。
厳密には出向といった形で地方の出先機関などでも働いているのですがここでは省略します。
一方で国家一般職は地方の出先機関などで勤務しています。
また、一部の人は霞が関でも働いていますよ。
簡単に言うと国家総合職の人たちが考えた施策や政策を実際に地方の出先機関で実施する実働部隊が国家一般職という職業になります。
もちろん、そのあり方は所属する官庁・機関によって異なりますので一概には言えませんがおおよそこのような説明ができるかと思います。
国家一般職の主な職場
- 国会一般職の職場は思った以上に幅広いです。主な職場としては
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各省庁
- 総務省、経済産業省、環境省、外務省、国土交通省 などの中央省庁
- 霞が関で働くことになります。
- ただ、本省は激務な上に国総のパシリにされますので正直こっぱんで入省するのはおすすめできません。
- なお、省庁に入っても、その出先機関に行くことも多いですが、一般職は管区内採用なので、異動も管区内のみとなります。
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各省庁の出先機関
- 法務局・検察庁・労働局・経済産業局・税関・運輸局 など
- こっぱんの職場としてはこちらの方が一般的ですね。
- 地方の出先機関で実務を担当します。
- 例えば法務局の場合登記業務を担当します。
- 異動は採用された管区の出先機関によりけりで一般的に言うことはできません。
国家一般職の主な仕事
どの省庁・出先機関に入るかで仕事内容は大きく異なります。
例えば・・・
- 内閣府(本省):官房の総合戦略を助け,幅広い政策課題の企画立案
- 金融庁:金融制度の企画立案・検査監督
- 入国管理局:不法入国者・不法滞在者などの取り締まり
- 地方運輸局:民間の陸上・海上の輸送業の資格認定・免許発行・指導監督など
- 地方労働局:ハローワーク(安定行政)
などのように様々です。
国家一般職が高齢既卒、コミュ障、ニートに優しいとは
高齢既卒、ニートについて
公務員全般に言えますが、こっぱんに関しては特に新卒至上主義がまかり通っている民間に比べると年齢に関して比較的緩いです。
仮に職歴がなかった、あるいは空白期間があったとしても面接できちんと理由が説明できれば思ったほど詳しく突っ込まれることはありません。
これが民間なら空白期間があるだけで門前払いを食らったりすることもあるね。
それから同じ公務員でも財務専門官などは新卒を明らかに優遇するところもあるからそこは気を付けてね。
それに比べるとこっぱんはそのあたりの差別はあまりないように思えます。
むしろ10月採用など既卒を積極的に採用しようとする向きもあります。
ただし、経済産業局は新卒を優遇する傾向がありますので注意してください。
コミュ障について
こっぱんは一応面接試験もありますが、その配点は筆記試験に比べ明らかに少ないです。
一次試験で実質的に合否が決まってしまうなんてことも十分あり得ます。
要するに筆記でいい点数を取ることができればコミュ障でも筆記の点数で逃げ切ることが可能なわけですね。
人物重視()の最近の風潮がある今のご時世でこんな旧態依然な(?)制度を取り入れている試験は他にはありません(笑)
これがほかの公務員試験の場合、面接の配分が大きすぎてコミュ障では太刀打ちすることができません。
そういった意味でコミュ障の人にもこっぱんはおすすめできるのです。
辞退者が多いから採用されやすい
こっぱんはとにかく辞退者が多いことで有名です。
例えば地方上級とこっぱんの両方に受かったら、多くの人はこっぱんを蹴って地方上級を選びます。
両方受かる人はコミュ力が高い人が多いです。
で、こっぱんの官庁訪問にやってくるのはそんなコミュ力の高い人ではなく、同じようなコミュ障の人が必然的に多くなるのです。
自動的に採用倍率も低くなり、また競争する相手もレベルが低くなりますので内定を勝ち取るハードルが非常に低くなります。
こんな理由でこっぱんは高齢既卒、コミュ障、ニートにも優しいというわけです。
国家一般職の待遇について
お給料について
国家一般職のお給料は俸給表と呼ばれるもので決められています。
大卒初任給の場合だいたい18万円程度です。
ちょっとすくないかな?と思われるかもしれません。
大丈夫です。
これに地域手当や通勤手当などといったもろもろの手当が加算されてなんだかんだで結局20万円くらいになることが多いです。
手取りは16〜17万円前後といったところでしょうか。
毎年数千円ずつくらいは上がっていきます。
そこは年功序列の権化、公務員と言えるでしょう。
本格的に給料が上がっていくのは役がついて等級が上がった時ですね。
そこに至るまでは雌伏の時です。
転勤について
転勤は所属する官庁によって転勤の有無は大きく変わってくるみたいです。
例えば税関などは転勤範囲がえげつないことで有名ですし、本省は激務の代わりに希望すればずっと東京にいることも可能なようです。
ほかにも通信局や経済産業局ははじめの数年間は採用された局で働き、次の数年間は本省へ出向し、それからはずっと採用された局で働くなど官庁によって異なります。
出世について
お給料、転勤ときたら出世についてもお話しなければなりません。
出世についてはどう頑張っても国家総合職には敵いません(そりゃそうか)
本省の場合、こっぱん採用職員は課長になれるかも怪しいです。
多くの人が係長どまりで定年を迎えます。
出先機関の場合は少し話が違ってきます。
例えば経済産業局や警察(国家一般職)の場合、比較的出世が早い傾向にあります。
これは採用人数とポストの数が関係しているようです。
反対に検察庁の場合は上のポストは検察官が占めているため、出世はそこまで期待できません。
勤務時間について
1日8時間、原則として土・日曜日及び祝日等の休日は休み(完全週休2日制)
これが基本ですが、最近はフレックス制となっている省庁も多いみたいです。
省庁によっては勤務時間が不定期となる場合もありますね。
税関がその最たる例でしょう。
また、出先機関は定時かシフト制になっていることが多いです。
出先機関の場合、仕事内容も簡単で、仕事量自体もそこまで多くないのでよほどハズレ機関、ハズレ部署にいかない限りはワークライフバランスの取れた社会人生活を送ることができると思います。
国家一般職採用試験について
国家一般職採用試験の大まかなフローはこんな感じです。
- 筆記試験
- 教養論文試験
- 人事院面接←この時点で最終合格となる
- 官庁合同・個別説明会
- 官庁訪問
- 採用面接
こっぱんは教養、専門の択一が課される一次試験、択一と同日に課される教養論文試験、そして後日人事院面接があり、それに通過すると最終合格となります。
さらにそこで終わりではなく、最終合格前後で合同説明会、個別説明会、そして官庁訪問、採用面接に通過しなければいけません。
国家一般職は一次試験の筆記の配点が高いことが特徴です。
裏を返すとここで高得点が取れれば逃げ切ることが可能というわけです。
場合によっては筆記の段階で最終合格できるかどうかが決まってしまうこともあります。
それだけ筆記勝負の試験だということができるでしょう。
筆記が終わると次は人事院面接です。
ここは正直そこまで難易度が高くありません。
鬼門は最終合格後の官庁訪問です。
官庁訪問についてはまた別の記事で扱います。
筆記試験について
国家一般職の筆記試験の難易度は大体地方上級と同じか少し難しいくらいとされています。
筆記試験は教養と専門の2種類がありますが圧倒的に専門の方が重要です。
というのも、専門試験は素点を1~2倍した得点で計算がされ、その点数が総得点算出の計算に使われるからです。
簡単に言うと専門試験は1~2倍にして計算するので専門試験で点数を取る方がお得だよ、ということになります。
さて、勉強法についてですが、兎にも角にもまずは過去問からです。
教養試験
こっぱんの教養試験は比較的オーソドックスな問題が多いので普通に数的の勉強をしておけば最低限必要な点数は確保できるかと思います。
とはいえ、平成30年に盛大にやらかした実績がありますのでくれぐれも過信しすぎないよう気を付けてください(笑)
勉強法についてはこちらの記事を参照ください。
地方上級と違って資料解釈も3問きっちり出題されるのでしっかり押さえておきましょう。
文章理解はこちらの参考書がおすすめです。
知識分野に関しては上の「合格の500」をやって頻出分野を押さえた後にクイマスやスー過去で知識の補充をすれば十分でしょう。
専門試験
専門試験は選択科目によって難易度にばらつきがあります。
その年ごとに難しい科目が変わっているので、選択する科目よりも多くの科目を用意しておくと不意の事故に巻き込まれずに済みます。
専門試験は40問選択式で1科目あたり5問出題されます。
ですから最低でも8科目準備しておく必要があります。
とはいえ、僕のように明らかに科目数が足りていなくても合格したりしますので、もう間に合わない、なんて思う必要はないかと思います。
一次試験体験談
僕が受験した時は一次試験は家の近所の大学で開催されました。
問題の難易度としては地方上級と同じくらいか、少し難しいとされています。
私が受けた年は前年並みの難易度だったらしく、ボーダーもそう変わらなかったみたいです。
僕は点数的には一次ボーダーはクリアできるけど、二次4cボーダー*にはギリギリ届かないという微妙な出来でした。
*二次4cボーダーとは
教養論文試験の評価が6段階中4、面接がa,b,c,d,eと評価がある中で真ん中のc評価をもらうこと。
受験生の平均が4cなので二次ボーダーを考えるときは4cを基準に考えることが多い。
二次試験について
教養論文試験
教養論文試験についてはおとなしくこの本をパラパラ読めば基本的に大丈夫です。
教養論文試験は足切りにさえあわなければokだと割り切って最低限の対策だけにとどめておきましょう。
面接試験
人事院面接は先ほども書きましたが筆記の点数さえ取れていればそこまで難易度は高くありません。
というのも、実際に採用するかどうかは官庁側で決めるので、人事院が採用試験として行う人事院面接では「この受験者は最低限のコミュニケーションを取ることができるか、ヤバいやつかどうか」くらいしか見ていないからです。
人事院面接は事前に提出しておいた面接カードをもとに15分程度時間をとって行われます。
質問なども自分が書いた面接カードに沿って行われます。
ですからたとえコミュ障だとしてもしっかりと面接カードを書いて臨んで対策すれば基本的には合格できるはずです。
落ちるとすればよっぽど面接カードに変なことを書くか、決められた様式を守らない、あるいは大外れの面接官に当たるなど、他の人からみてもこれはだめだわとなるような事態だけでしょう。
そんなわけで、面接カードはしっかりと書かなくてはいけません。
面接カードの詳しい書き方、面接のやり方について知りたい人はこちらの参考書を読んでみましょう。私も試験前にとても参考にしました。
二次試験体験談
正直一次の点数が微妙でしたので、二次の人事院面接はやる気があまり起きませんでした。
面接練習をして臨んだ県庁とは大違いです。
当日はバックレてどこかに遊びに行こうなんて考えていました。
集合時間の1分前に到着するやる気のなさが物語っています(遅刻したら会場に入れないことになっていたので当然一番最後に到着しました)。
試験会場につくとはじめに適性検査が実施されました。
それがおわると順々に面接が行われるというかたちですね。
面接は本当にオーソドックスな質問ばかりで正直拍子抜けでした。
事前に面接カードを提出しておくのですが、そこに書かれている内容に沿って進められたので取り立てて答えづらい質問や深堀は特にされませんでした。
イメージとしてはだいたいこんな感じです。
国家公務員を志望した理由は?
○○で働きたいと思ったからです。なぜなら~。
面接カードにはアルバイトを頑張ったとのことですが具体的に教えていただけますか?
はい、私は××でアルバイトをしており、~を工夫しました。
こんな形で一問一答形式で深堀されることもなく15分ほどであっさりと終了してしまいました。
こんなあっさりとした面接で本当に大丈夫なのかな~と逆に心配になりました(笑)
ですが、成績開示をしたところB評価をいただけていたのであっさり人事院面接が終わったとしても変に心配する必要はないと思いますよ( ´∀` )
個別説明会〜官庁訪問について
人事院面接が終わるといよいよ省庁から内定をもらうべく合同説明会、個別説明会、そして官庁訪問を行っていくのですが、元来めんどくさがり屋な性分に加えて、一次試験の点数的に最終不合格だと信じて疑わなかったものですから微塵もやる気がでませんでした。
この時はまだ論文が6段階中6、面接でB評価をもらえて最終合格するなどとは思いもしませんでしたから無理もありません。(ちなみに4cでも最終合格はしていたみたいでした)
そんなわけで、合同官庁説明会には参加しませんでした。
また、個別説明会にも3省庁しか参加しませんでした。
そして官庁訪問に至ってはその中から一つだけを選んでそこだけ参加しました。
結果、そこから内定をもらうことができたので笑い話で済みますが、かなり危ない橋を渡ったものだと思います。
こんな危ない真似ができたのも大手メーカーから内定をもらっていたからこそでした。
簡単に説明すると、
個別(業務)説明会
説明会と言いながら実質的には選考会、面接会だったりする。
ここで高評価を受けると囲い込みを受け、内定に大きく近づくとされる。
逆に悪い評価だと官庁訪問で門前払いされるおそれもある。
官庁訪問
表向きは志願者が志望する省庁に赴き、自己PRをする場とされているが実際は個別説明会の時点で採用するかどうかが大まかに決まっているとされる。
一つの目安が官庁訪問の予約をするときの時間。官庁訪問初日午前中に予約が取れた、あるいは省庁側から打診してきた場合、個別説明会で高評価を得ていたことがわかる。
逆に向こうからわざわざ3日目以降を指定してきた場合は・・・、お察しください。
官庁訪問は個別説明会での答え合わせなどとよく言ったもの。
まとめ
つまるところこっぱんというのは
- 高齢既卒、コミュ障、ニートにも優しい
- 出世、給料を望むのならそもそもなっちゃだめ
- それでも一応暮らしていけるだけのお金はもらえる
- ワークライフバランスを一番重視する人に向いてる
- 省庁さえちゃんと選べば転勤もない
以上のことが言えますね。
国家一般職は最近の人物重視の傾向がある公務員試験の中である意味異彩を放っています。
筆記重視の傾向がいまだに根強く残っているため、コミュ力に自信が無い人でも筆記で点数さえとれれば比較的合格しやすい試験です。
また、国家一般職は最終合格前後で省庁の採用活動が活発になります。
人事院面接も含めて省庁の採用活動は民間に負けず劣らず(笑)不透明な点が数多くありますが、それにめげずに頑張ってください。
みなさんもぜひ、受験してみてはいかがでしょうか。
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面接重視の風潮は私のような面接嫌いな人間にとって、嫌な流れですね。