公務員志望の人でよくある質問の一つに、「民間と併願できるのか」、というものがあります。
要するに公務員試験の勉強と並行して民間も受けるというものです。
結論から先に申し上げますと、できますし、毎年両立している人もいます。
実際、僕も民間と公務員試験を併願してどちらも成功しました!
ただし、いばらの道ですから相当な覚悟がいる、ということを理解してください。
民間と併願は相当キビシイのが現実
民間の就活と公務員試験を両立させようとするのは修羅の道を歩むようなものです(大袈裟)
その道は険しく、結局どちらかに絞る人も後を絶ちません。
最悪の場合、二兎を追うもの一兎も得ずという事態に陥ることもままあります。
安全策をとるならばどちらか一方に絞ることをお勧めします。
ですがその一方で見事に両立し成功を収める人がいることもまた事実です。
また、並行してやっていくことでのメリットもあります。
併願するメリット
面接対策になる
悲しいかな、公務員試験の場合、筆記試験については意識が向かいやすいのですが、面接対策となるとおざなりになりやすいものです。
そうなるとせっかく一次試験を突破できても面接で落とされてどこにも受からないなんて目も当てられない結果に終わる人も例年一定数はいます。
逆に民間の場合ですとSPIなどの筆記試験が軽視されて、面接が最重視されるという公務員試験とは真逆の選考体制ですね。
私は面接が苦手だから公務員試験を受けるんだ、という人も中にはいるでしょう。
が、いくら公務員試験でも最終的には面接に受からなければ採用されないのです。
ところが公務員試験における現行の面接対策というものはお世辞にも充実しているとは言えない状況です。
例えば予備校の面接対策講座なんて、数回通り一編の模擬面接をやって終わり、なんて有様です。
本当は1回1回きっちりとフィードバックしてその都度出てきた反省点を改善したうえで数をこなしていかなければいけないのに、です。
近年、公務員試験ですら面接重視になりつつあります。
そんな状況にあってこれではあまりにお粗末です。
では、どうするのか。
語弊はあるものの、ある種自分にとってはどうでもいい企業で場数を踏ませてもらうというのが一番の手だと思われます。
模擬面接のような緊張感もないものよりも実践のほうが数段得るものは大きいはずです。
公務員の面接についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
滑り止めを確保できる
併願のメリット、二つ目は滑り止めです。
早いうちに選考が始まる企業で内々定をもらっておけば安心して公務員対策にまい進することができます。
これは公務員志望の人だけではなく、民間志望の人にもいえることです。
なかなかそういった企業を見つけるのは難しいことですし、公務員一本に絞っている人ですとそもそもこんな発想は浮かばないとは思います。
ですが、個人的にはぜひおすすめしたいやり方でもあります。
最終的な選択肢を増やすことができる
そしてうまくいけば公務員と民間の内定を複数もらうこともできます。
「公務員か民間企業か、どちらがいいか決めきれない」という人はとりあえず内定だけもらっておいて就活が終わった後でじっくり考えるということができるのも併願のメリットと言えます。
併願のデメリット
時間の確保が難しい
最大のデメリットですし、これを読んでいる読者の皆さんもこのことを恐れているのではないかと思います。
実際、正直なところ公務員試験の勉強だけで手いっぱいなところもあります。
それにへたに「公務員も民間も」と欲をかくと共倒れになってしまうこともあり得ます。
これだけは何が何でも避けなければなりません。
それでも併願したい場合
まずはどうして併願したいのかを考える
まずはこれでしょう。
なぜ、わざわざこんな危ない橋を渡ろうとするのか、それを自分の言葉でちゃんと説明できるようにしてください。
ひょっとしたら自己分析の一歩になるかもしれません。
併願することができる前提条件
ここからは民間と公務員試験を併願するにあたって、必要な条件を挙げていきます。
これらを満たしていない場合は残念ながら共倒れになって一生後悔する結果となってしまう可能性があります。
その場合、民間か公務員かどちらかに絞ってやることをおすすめします。
公務員試験まで最低半年以上はあること
民間と併願する以上、この半年以上というのは最低条件です。
公務員試験の場合、一次試験に突破できるくらい勉強時間を確保しなければなりませんし、民間も業界研究やES、面接、選考の時間も考えるとこれくらいでも足りないくらいです。
半年を切っている場合は潔くどちらかに集中するべきでしょう。
ある程度の基礎学力がある
併願するうえでどうしても問題になってくるのが勉強時間の確保です。
公務員試験を受けるにしても最初からある程度の学力があれば知識ゼロから始めるよりも時間はかかりません。
ですからあらかじめ少なくとも一般知識に関してはある程度の基礎学力があることが条件となります。
具体的にいえば英語、現代文、世界史、日本史、生物くらいは過去問を何年分か見ればおおよそ理解ができる程度です。
数学が苦手な人でも中学数学までならわかるということなら条件を満たします。
中学数学がわかれば、とりあえず苦手な人が多い数的処理に関してもそう苦戦せず勉強を進めることができます。
一日最低3時間程度の勉強時間が確保できる人
どれだけ時間が少なくてもこれくらいの勉強時間は必要だと思います。
1年前から勉強を開始できる人なら一日1,2時間程度でも大丈夫です。
本気で合格を目指している公務員受験生はたいていこれくらいは勉強しています。
勉強時間が確保できないならどちらか一方に絞るべきです。
あればベターな条件
ここからは該当するなら併願に成功できる可能性が上昇する条件です。
当てはまる項目が多いほど有利になります。
TOEICで800点以上
現実的に一般的な大学生が取れる資格の中で就活で有利になる資格といえばTOEICくらいなものです。
司法試験や公認会計士などは一般的な大学生が突破するのは困難でしょうし、秘書検定や簿記3級程度などは就職ではなんの評価もされません。
そんなもののために時間を費やすくらいならバイトして就活資金でも稼ぐ方が有意義です。
ですが、TOEICは違います。
日本企業は相も変わらずTOEIC至上主義です。
そのなかでTOEIC800点以上の点が取れれば就活市場でかなり有利となります。
具体的な勉強法はこちら
TOEICで高得点を取っているのは民間だけで役に立つわけではありません。
公務員試験でも有利に働きます。
例えば国家総合職の場合、一定以上の点数(730点くらい)を取っておけば、総合点にプラスしてもらうことができる制度があります。
ほかにも、地方上級では教養試験に英語が出題されますし、国家一般職でも選択問題に英語が存在します。
つまり、TOEICで点数が取れていれば英語の勉強時間が大幅に短縮することができるため、かなり有利になります。
そのため、TOEIC高得点は併願においてとても重要なものといえます。
経済か法律を事前に学習済み
大学で民法や憲法、経済学などの講義を履修していて、内容を理解している場合も専門試験での勉強時間を短縮することができ、とても有利になります。
どうしても併願したい場合、おすすめのやり方はこれだ
インターンを積極的に活用する
個人的にはインターンを活用することが民間と公務員試験との併願における最適解だと思います。
みなさんもご存知のとおり、年々インターンは活発になってきています。
そして、そのインターンは選考があるものがあります。
中には本選考さながらの、ES、適性試験(SPIなど)、そして面接というフルコースを堪能(?)できるインターンもあります。
そしてたいていそういうフルコースの選考を行う企業が実施するインターンは内定直結型、ないしそうでなくても本選考が有利になる特典付きのところがおおいわけです。
そんなインターンの選考を突破した人は就活本番でも俄然有利です。
なぜなら、就活が始まる前から自己分析をしたり、ESを書いたり、面接の練習をしたりしたからです。
個人的にはインターンは本選考で有利になるために参加するのではなく、選考慣れするために応募するのが一番役に立つのかな、と思います。
だって、就活本番はめちゃくちゃ忙しいんですよ?
そんなときに今更自己分析やって業界研究やってES書いて・・・、なんてやってたら民間に絞ってやっていたとしても間に合いません。
そこでまだ時間に余裕のある夏や秋にインターンの選考で練習しておくんです。
ここでSPIなども勉強しておくと忙しい春先に時間の余裕ができますね。
SPIについてはこちら
そして、無事にインターンの選考を突破できれば、ひとまずそのESやSPIの実力で問題がないことが証明されるわけです。
となると就活本番でもそれらをガンガン使っていけます!そうすると本番でも時間を短縮することができます。
もちろんそのインターンである程度の成果を出さなければならないわけですが、うまくいけばそのまま内々定まで転がり込んできます。
そしてこのようなインターンは夏休みや1月ごろといったまだなんとか時間作ることのできる時期に行われることが多いです。
つまり、公務員試験と並行して参加することも可能というわけですね。
となるとこれを利用しない手はありませんね?
そもそも何から手をつければいいのかわからないという人へ
こちらの記事を参考にしてみてください
予備校か、独学かに迷ったらこちら
スケジュールが知りたい人はこちら
教養試験だけの区分を考えている人への注意点
優先順位を決定する
併願する理由と合わせて決めてください。
公務員試験を最優先するのか、民間を最優先するのかでその後取りうる方針が大きく変わってきます。
民間を優先する場合
民間を優先する場合、公務員試験は滑り止めという扱いになります。
方針
実はこの方針ですと、かなり間口が広くなります。
先ほど前提条件として挙げた条件を満たしていない人でも併願が成功する可能性が高い方針です。
公務員試験について
公務員を滑り止めにする場合、教養試験しか勉強しません。
正確に言うと専門試験がなくて教養試験しか実施していない試験を狙って受験する、という戦略になります。
公務員試験といえば専門と教養の両方が課されるというイメージですが、近年は教養試験のみを課す自治体も増えてきました。
また、こういった自治体の特徴として、面接の配点が大きいという特徴も挙げられます。
つまり、民間との併願にぴったりというわけです。
実施しているのは政令指定都市を中心とした市や町です。
あとは大学法人などもそうですね。
民間について
民間については普通に就活をやってもらって大丈夫です。
公務員試験でも重視されるので全力で面接対策を行ってください。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
戦略
夏
サマーインターンに参加して選考の練習をしてください。
ESの書き方やGDの対策でほかの就活生に先んじておきましょう。
併願する予定でしたらこのあたりから公務員試験の勉強をぼちぼち始めていくといいでしょう。
教養試験のみですので、まずは数的処理から順々にやっていきます。
秋
サマーインターンに行くことができたら、オータムインターンはどちらでもいいです。
とはいえ選考が有利になりやすいのはどちらかといいうとオータムのほうですから参加して損はないと思います。
公務員試験は数的処理をここまでに学習しておいてください。
そのほかの科目もこのあたりからちまちま進めていきましょう。
冬
このあたりから説明会やOB懇談会などのイベントが目白押しです。
ほぼ毎日動き回る羽目になります。
興味がある企業のインターンがあればここでも参加してみてください。
ワンデーに参加するだけでも一次面接が免除になったりするところもありますし。
公務員試験はこのあたりで一般知能分野をある程度片付けておくと安心して就活本番を迎えることができます。
春
いよいよ就活本番です。
わき目もふらず面接しまくってください(笑)
公務員試験もこのあたりで佳境を迎えます。
一般知識分野を全力で補填しつつ、こちらも試験を受けまくってください(笑)
公務員を優先する場合
こちらはかなり厳しいいばらの道です。
先ほど書いた前提条件は当然のことTOEICなどでも高得点を取っているなど別の要素も必要になってきます。
安易にお勧めはできません。
方針
民間に関しては難易度の低いところを申し訳程度に受けるのがいいです。
エントリー数が増えるとどうしてもESを書いたり面接に行ったりで時間がとられます。
公務員試験についても普通にスー過去やクイマスを解いていてはとてもではありませんが間に合いません。
科目ごとに取捨選択をして効率よく勉強していくことが必要です。
戦略
夏
サマーインターンに参加してみましょう。
公務員試験はこの段階で数的や憲法などといった最優先科目に手を付け始めてください。
秋
オータムインターン(以下同文)
公務員試験はこの段階で優先科目を一通り触っておくことが必要になってきます。
冬
ウィンターイン(以下略)
公務員試験についてはこの時期一杯で試験範囲すべてを触っておくのが理想です(捨て科目を除く)。
が、現実的には無理でしょうね・・・。
短期間の詰込みでどうにかなる一般知識を除いてすべての科目に触れていることが望ましいです。
というよりそれくらいやっておかないと就活本番で忙殺されます。
春
インターンで行った企業を中心にエントリーしていきます。
貴重な本番直前の時間を少しでも節約するためです。
公務員試験もここまで来たら本番直前の集中力をいかしてなんと乗り切ってください。
やっぱり民間と併願するのは難しそうだな・・・という人へ
とまあ、ここまでつらつら書いてきたわけですが、やっぱり民間との併願は相当きついです。
なんとなくやり始めると大やけどしますよ?
21卒の人はまだどうなるかわかりませんが、20卒の人は公務員試験最盛期と就活最盛期がガッツリ被っていますからね。
ここまで読んでみて「やっぱり民間と併願するのは難しそうだな」と思われるかもしれません。
しかし、効率よく学習すれば民間と併願することも十分可能です。
実際、私も公務員試験と民間を併願してどちらもうまくいきました。
そんな私がおすすめするのがアガルートの公務員講座です!
- 通信講座なので場所や時間に縛られない
- 自分のペースで取り組むことができる
- 8段階(× 0.5 /0.75/ 1.0 / 1.25 / 1.5 / 2.0 / 2.5 / 3.0)から好きな再生速度で視聴できるので効率的に勉強できる
- 月1回の定期カウンセリングがあるのでペースメーカーになる
- 地方上級や市役所など自分が受けたい受験先に合わせてカリキュラムが選べる
- 他の予備校や通信教育よりも短期間で学べる「速習講座」もあるので直前期でも公務員試験に挑戦できる
- 独学と違ってカリキュラムがしっかりしているので「次に何をやればいいのかわからない」ということにならない
まとめ
いかがだったでしょうか?
公務員試験と民間を併願するのはなかなかキビシイです。
個人的に公務員試験のA日程を8月か9月あたりにずらしてくれたらなぁ~なんて思います(笑)
しかし、効率的に学習することができれば十分両立も可能です。
それでは今日はここまで。
おすすめ【公務員試験対策まとめ】試験に5戦全勝した元国家公務員が徹底解説!
コメントを残す